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信州 (ATT.JAPAN ISSUE 46)

Travel

UpdateFebruary 25, 2018
ReleaseFebruary 25, 2018

信州 北部/東部
雄大な自然と多くの温泉地を持つ長野県は、昔ながらの「信州」という呼称が未だ残る、歴史ある地域。今回は信州の北部と東部を旅してみたい。大自然を満喫する旅に出かけよう。

長野
信州の玄関口、長野。1998年に第18回冬季オリンピックが開かれ、その名を世界に広めた長野市は、善光寺の門前町として古くから栄えてきた。周辺には博物館・美術館も点在する。市の中心に建ち、仏教の中でいずれの宗派にも傾倒せず中立を保つ善光寺。年間参拝者は600万人を超える。「牛に引かれて善光寺参り」と言われるが、これはその昔老婆が干していた布を牛が角に引っ掛けて走り去ったので追いかけ、ふと気が付くと善光寺の前におり、その後信仰が深まり極楽浄土を遂げた、という故事。今では転じて、思ってもいなかったことや他人の誘いによって、良い方に導かれる例えとして用いられる

現在の本堂は1707年に落成、建物全体が国宝に指定されている。外観だけでなく、堂内も下陣までなら無料で自由に入れるので、気軽に立ち寄ることが出来る。ご本尊は内々陣のやや左寄りに設置され、正面にはご三卿(善光寺を開山した本田善光とその妻子)が安置されるという珍しい形。堂内奥ではお戒壇巡りを体験できる。本堂床下の真っ暗な回廊を手探りで進み、ご本尊真下の錠前に触れることでご本尊と縁が結ばれて、極楽浄土が約束されるとのこと。文字通り真っ暗闇なので、体験する時は持ち物を落とさないよう気をつけて。

善光寺のご本尊は654年以来一度も公開されたことのない秘仏であり、その姿を直接拝むことは出来ない。7年に一度、ご本尊の分身・前立本尊の姿を拝むことが出来る「ご開帳」が行われ、2009年は4月5日(日)~5月31日(日)まで開催されている。期間中は、回向柱(えこうばしら)が本堂前に建立され、前立本尊の右手と糸で結ばれる。この回向柱に触れることにより「仏様」の御心に触れる(結縁)ことが出来ると、宗派を問わず多くの参拝者が訪れる。

市街地からお寺へ到る、参道歩きも楽しい。左右に建ち並ぶ店先のあちこちから立ち上がる煙とおいしそうな匂い…信州名物「おやき」を蒸かしているところだ。中には野沢菜やあんこなどの具がぎっしり詰まっていて食べ応え十分。店のおじちゃん、おばちゃんにおすすめを聞いて、試してみたい。日本の代表的薬味・七味唐辛子で有名な店もある。

参道裏にある善光寺徳行坊では日本文化の体験プログラムが用意されている。茶道・座禅・着物体験に精進料理を加えた6時間の総合プログラムで12,500円。日本人の心を理解して欲しいと住職が始め、英・中・韓のガイドで好評を博している。月・水・金に実施、前日までにメールで予約(mail@zenkoji-tokugyoubou.com)。宿坊とは元々寺の参拝者のための宿泊施設であり、もちろん宿泊も出来る。朝の御勤め体験が出来て9,450円。詳細は別途問合せ。

戸隠
長野市の中心部から北へ、バスで1時間ほど。新潟との県境、戸隠山のふもとに位置する一帯は、日本有数のそばの産地。戸隠とは、「天照大神が弟・素戔嗚尊の度重なる非行をお嘆きになり、天岩戸にお隠れになった」という神話に由来する地名だ。

まずは戸隠神社に参拝しよう。中社は、5社あるうちの中心的存在。樹齢約900年の三本杉は天然記念物。時間があれば、杉並木の参道を通って奥社まで参拝するのも良い。かつて山伏たちの修行場だった時代の趣が今でも色濃く残る。

体験施設もある。戸隠民俗館・戸隠流忍法資料館では手裏剣投げを体験できる他、からくり立体迷路を楽しめる。鎌倉時代に生まれた戸隠流忍術の様々な忍具展示もある。
また、日本有数のそばの産地としても有名。そばの老舗名店が軒を連ねるのはもちろんだが、戸隠そば博物館とんくるりんでは、そばうち体験が出来る(冬季休業)。ベテランの先生の指導のもと、自分で打ったそばに舌鼓。

須坂・小布施
長野から長野鉄道に乗って須坂・小布施へ。
蔵のまち須坂では、まず散策で街並みを楽しもう。明治初期、製糸業で成功した人々が蔵を建て、それが今日まで残っている。クネクネと曲がる路地裏の細い道も巡りたい。江戸時代の豪商・田中本家の博物館など、展示施設もある。

続いて小布施へ。小布施は栗と葛飾北斎の街。栗を使った土産菓子が人気である上、秋の新栗のシーズンになれば栗おこわを食べに多くの人が訪れる。江戸時代に活躍した浮世絵師・葛飾北斎が晩年度々訪れた街でもあり、北斎館では、彼が描いた掛け軸や額装など肉筆画40余点を中心に版画・版本もあわせて展示。別館には天井画が壮麗な小布施の祭屋台2台を常設。

湯田中渋温泉郷
長野電鉄の終着駅、湯田中駅が湯田中渋温泉郷の玄関口。長野からはおよそ1時間。時間があれば、川沿いにある湯田中、安代、渋温泉郷を歩いて移動できる。宿や雑貨店が点在し、浴衣の宿泊客がそぞろ歩く、温泉街らしい町並みが続く。規模の最も大きい渋温泉郷では、気軽に入浴できる足湯や、温泉施設を巡る「外湯めぐり」を楽しめる。専用の手ぬぐいを購入して、外湯毎に用意されたスタンプを集めると記念品をもらえるチャンスがある。

湯田中駅からバスに15分揺られ、上林バス停から歩いて5分、地獄谷温泉へ続く遊歩道の入口。地獄谷野猿公苑は「スノーモンキー」で有名なモンキーパーク。餌を食べたりじゃれあったり、冬場には気持ち良さそうに温泉に入る(!)サルたちを自由に観察したり撮影できる。愛らしい表情のサルたちをここまで間近で見られるチャンスはなかなか無い。入場料500円。公苑までの遊歩道は十分に整備されているとは言い難いので、足元には十分注意しよう。

野沢
こちらも歴史ある温泉街。野沢菜発祥の地としても有名である。街中にある源泉・麻釜熱湯噴湯では地元の人々が野菜や卵を茹でる光景が見られる。13箇所の外湯では、観光客も無料で楽しめる。旅館に一泊して朝風呂を浴びた後、朝市に立ち寄れば地元産の新鮮な野菜を購入できる。

白馬
白馬・大町・安曇野と、JR大糸線で結ばれた一帯では、日本の誇る壮大な自然美を満喫できる。
白馬は良質の雪が積もるスキー場として人気だ。白馬大雪渓では一年を通してダイナミックな雪景色を眺められ、トレッキングもできる。
歴史的古民家「庄屋まるはち」では文化体験が出来る。築156年の江戸時代の豪商の屋敷を改修したもの。畳や木、障子、囲炉裏(いろり)などの日本文化が随所に残っており、文化・遊び体験の他、食事処では会席料理を楽しめる。

大町
大町温泉郷には鹿島川沿いの遊歩道や、日本酒についての様々な展示を楽しめる酒の博物館などがある。四季折々の自然が美しい中で、温泉を楽しめる。
大町の北部には三つの湖、木崎湖・中綱湖・青木湖があり、仁科三湖と呼ばれる。春から夏にかけて湖岸には緑が生い茂り、風が心地良い。「思索の青木湖」と呼ばれる青木湖は、散策を楽しむのに抜群。高い透明度を誇り、中綱湖と並んで釣り好きには穴場である。木崎湖には幻と言われたキザキマスが生息する。人気アニメ「おねがい☆ティーチャー」の舞台で、劇中に登場した施設や風景を拝みに「聖地巡礼」に来るアニメ好きも少なくない。

安曇野
寿司には欠かせないわさび。ツーンとした刺激が魚のおいしさを引き立てる。わさびがどのように生産されているかご存知だろうか。安曇野の大王わさび農場では年間150トンものわさびを生産している。綺麗な水が求められるわさび栽培で、これほど広大なわさび田を見られるのは、北アルプスの湧水が豊富な安曇野ならでは。直射日光に弱い為、わさび田は4月から9月末まで黒い寒冷紗で覆われてしまうが、農場内を散歩するだけでもその豊かな自然を満喫できる。名監督・黒澤明の映画『夢』のロケ地としても知られ、水車の風景が有名だ。わさびアイス、わさびコロッケ、わさびチョコなど、わさびを使ったユニークな名物料理もぜひ食してみたい。

ロダンに師事した彫刻家・荻原碌山(おぎわらろくざん1879–1910)の作品が集まるのが碌山美術館。教会堂風の本館は、春には白樺の緑で覆われる。自然光をふんだんに採り入れるための天窓が多く設けられ、柔らかな陽光が碌山の作品を更に演出する。そのほかにも安曇野には美術館が点在しており、自然の中でアートに触れられる。散策の後は、八面大王足湯で癒しのひとときを。喜怒哀楽を表現した8つの顔に見守られながら、自由に入浴できる。24時間オープンで、地元民にも人気の施設だ。

軽井沢
軽井沢は日本を代表する避暑地、別荘地。19世紀に英国国教会(聖公会)のカナダ人宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショー(Alexander Croft Shaw, 1846-1902)が美しい自然に魅了されこの地に別荘を建てたのがはじまりだ。皇太子明仁親王(当時、現天皇)が美智子さま(現皇后)と出会われたのも、軽井沢のテニスコートだ。

まずは旧軽井沢へと足を延ばそう。中心は旧軽銀座。別荘族御用達の商店街として発展した。老舗の店からトレンドの店までそろうメインストリートだ。ジョン・レノンのお気に入りだったフランスベーカリーやブランジェ浅野屋といったベーカリー、ミカドコーヒーや茜屋珈琲店など人気のカフェが点在する。かつてジョン・レノンは、万平ホテルに滞在し、クラシカルなカフェテラスの一番奥の席で毎朝ロイヤルミルクティーをオーダーしていたそうだ。森に囲まれたショー記念礼拝堂は軽井沢最古の教会。旧三笠ホテルは1906年に開業した西洋式木造ホテルで、かつては皇族や政財界の著名人が集う社交場だった。1970年に閉館し、現在は国の重要文化財。レンタサイクルを利用し、旧三笠ホテルまでの美しいカラマツ並木をサイクリングするのもお薦めだ。

さわやかな緑が気持ちよい高原、軽井沢では自然との触れ合いも魅力だ。野鳥をはじめ野生の動植物が数多く生息する軽井沢野鳥の森では、2.4kmの観察路を自由に歩ける。スタッフが案内してくれるネイチャーウォッチングに参加すれば、より深く軽井沢の自然について知ることができる。浅間山麓の北軽井沢では、ハイキングが楽しいだろう。世界三大奇勝のひとつ、鬼押し出しは、1783年の浅間山大噴火によって生まれた溶岩の芸術。不思議な形の岩岩が神秘的なムードを作り出している。

軽井沢駅南側では、ゴルフ、テニス、冬はスキーなどが楽しめる。雄大な浅間山を臨む軽井沢72ゴルフは、女子プロの大会でも使用されるコースのほか、家族でも楽しめるバラエティ豊かなコースが揃っている。軽井沢プリンスホテル目の前にあるのは軽井沢プリンスホテルスキー場。東京から1時間でスキーが楽しめる。雪遊びが楽しめる広場もあるので、小さなお子さま、雪は初めてという人でも雪遊びの楽しさを満喫できる。

軽井沢観光の締めくくりはショッピング。JR軽井沢駅南口の軽井沢・プリンスショッピングプラザに、2008年11月にオープンしたばかりのNew East Garden Mallでは、国内初出店の3店を含む世界のトップブランドが集合。New West、West、East、New Eastと合わせ約210店のうち約6割はアウトレットだ。大ショッピングモールで買物を満喫しよう。

アクセス
長野:東京から長野新幹線で1時間50分。名古屋から特急で3時間。
軽井沢:東京から長野新幹線で1時間20分。名古屋・大阪からも東京経由が便利。

コラム – 星のや 軽井沢
1914年に開業以来、美肌の湯として親しまれてきた星野温泉ホテルが、2005年、新たな発想の温泉旅館を目指し、星のや 軽井沢として生まれ変わりました。
ここは外界とは隔絶した、湯川の谷あいの集落。建物が点在し、路地がそのひとつひとつを結び、集落の真ん中には川が流れます。建物は土塗壁風のどっしりとした外観と黒い下見板の木造。つねに水や森の気配を感じながら歩いて行けば、路地の先には新たな風景が展開します。
どの客室にも広いテラスか広縁があり、ソファタイプか掘りごたつ式のリビングが設えられています。高い天井、広い窓など、ただ眠るだけではなく一日中くつろいで滞在できる空間が用意されています。どの客室もアプローチが異なり、オリジナルの玄関を持つ、独立性の高い造り。客室のタイプは20を超えます。あえてテレビを置いていない客室では、都会の生活を忘れ、軽井沢の四季折々の自然を楽しむことができます。浴室の高い窓を開放すれば、自然の風を感じながらの入浴も楽しめます。大浴場は露天風呂であるトンボの湯のほかに、メディテイションバスがあります。

真夏でも夜の外気は10℃台まで下がる軽井沢では、断熱や越屋根などの工夫で客室には冷房が不要です。地中熱を利用した心地良い床暖房などで、エネルギーの自給自足は約70%。自然と共生するリゾートなのです。

他の温泉旅館に比べて時間の拘束が緩いのも嬉しいところ。22:04東京駅発の長野新幹線の最終に乗り、23:30にチェックイン、それから温泉、夕食。翌朝は11:00に起きて朝食ということが可能です。和食のほかに、星野エリア内のレストランで洋食を選択できるほか、豊富な食文化を誇る軽井沢のさまざまなレストランを利用することもでき、何泊しても飽きることはないでしょう。

「日本らしさを大切にしながら近代化をしてきていたならあったであろう日本の姿」が星のや 軽井沢のコンセプト。「もうひとつの日本」をぜひここで感じてみてください。