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人形町

Travel

UpdateFebruary 28, 2018
ReleaseFebruary 28, 2018

江戸の情緒と伝統の継承
昔、人形町のあたりは、東京湾の水面下にあった。大規模な埋め立てにより、江戸城下町の商業の中心として誕生した。人形町は、江戸歌舞伎の拠点であった。人形浄瑠璃も上演され、人形師が多く住み、それが町の名前の由来となった。戦災を免れたため、人形町には、昔ながらの下町の姿が今も残っている。
水天宮前駅から出発。5番の出口を出て水天宮へ向かう。水天宮は、安産や水難除けのご利益があるという。境内には、生まれる子供の干支をなでるとお産が軽くなるといわれる、子宝犬の像がある。私たちが訪れたときには、像の回りには若い夫婦がたくさんいた。陣痛がやわらぐという水天宮御守りや、腹帯に縫い付けて安産祈願の御守りとする鈴乃緒などの御守りもある。マタニティグッズが買える屋台もあった。ちょうど戌の日だったせいか、大勢の人で賑わっていた。毎月5日は縁日で露店が並ぶそうだ。
水天宮をあとにして、人形町へ向かう。まず目に入るのは、人形焼の看板。大勢の人が人形焼を買うために並んでいる。
ちょっと古びた日本的な建物が目に入ってきた。「壽(ことぶき)堂」だ。黄金芋を買っていく人が多いようだ。黄金芋は、一見やきいも風のお菓子。丹波のあずきなど高級素材を使い、伝統の手法を守って作っている。黄身あんを、小麦粉と卵で作った皮で包んだ黄金芋を、一口食べるとニッキのいい香りが口いっぱいに広がる。今日は干菓子も見せてもらった。花びらの形などをした干菓子は、色も綺麗でとてもかわいい。食べるのがもったいないけれど、友達に見せたいので1個だけ買った。店内はちょっと昔の日本の雰囲気で、ちょっと変わった時計が私の目をひいた。
甘酒横丁の手前で、下駄が売られているのを見て、なぜかうれしくなった。ここは私の好きな、とても日本らしい雰囲気が残っている街のようだ。この辺には、親子丼で有名な「玉ひで」がある。行列覚悟で、次はランチタイムに来てみよう。

甘酒横丁では、私はタイムスリップをしてしまったようで、すごく楽しかった。この横丁の入口に昔、甘酒屋があったため、甘酒屋横丁と呼ばれていたそうだ。老舗が多く、どの店も職人さんが忙しく働いている。まず目をひいたのは、甘酒の看板。「双葉」というお豆腐やさんの看板のようだ。やっぱり、今でも甘酒が飲めるんだと思ったら嬉しくなった。ここは、がんもどきも美味しいらしい。店先には縁台が置いてあり、甘酒を飲んで、一休みできる。豆乳も売っている。

次は、「つづら」を作っているお店があったので寄ってみた。「岩井つづら店」だ。店の一角で、職人さんが作業をしていた。つづらは、日本の伝統的な、竹製で漆塗りの箱。丈夫で軽く通気性がよいのが特徴で、和服を収納するために古くから親しまれてきた。最近は和服のほかに、洋服を収納したり、部屋のインテリアにしたりという使い方もされるそうだ。漆は、黒・茶・朱の3色。店の片隅には、まだ漆を塗る前の、竹で組まれた箱が置いてあった。これが、これから漆を塗られて、あんなに綺麗なつづらになるんだな。
ちょっと行くと、今度は三味線のお店が目に入った。「ばち英」だ。三味線がたくさん並んでいる。店の奥では、職人さんが、なにやら作業をしている。興味を持っていろいろ眺めていたら、店主が親切にいろいろ説明をしてくれた。とてもやさしいご主人で、無知な私の変な質問にも丁寧に答えてくれた。江戸時代から日本橋界隈は経済の中心地で、さらに人形町は芝居が盛んな地域だったから、町人の芸事に関する意識が高く、三味線をする女性が大勢いたそうだ。月曜日から金曜日の午後は、ご主人の友達が店に来て三味線を弾いていくそうだ。通りを歩く人が三味線の音色を楽しめる。その友達は、銭湯を経営したのだが、最近引退したとのこと。この日は金曜日だったけど、あいにくその友達はどうやら明治座にお芝居を見に行ってしまったらしい。こんな話が聞けるのも、下町ならでは。今度また是非三味線を聞きに来よう。

甘酒横丁は、明治座まで続いている。明治座は、130年以上の歴史ある劇場だ。1873年に開場したのが始まり。宙乗りなどの最新設備もあり、歌舞伎からミュージカルまで、和洋幅広く利用されている。売店もあり、人形町の名店も揃っている。浜町駅を出てすぐの明治座とその周辺は大変街並みが整備されてきていて、散策にもおすすめだ。
ジュサブロー館は、人形師、辻村ジュサブロー氏の創作人形やアトリエを展示している。1階は人形の展示と芝居小屋、2階が展示室になっている。

人形町にはその名の通り、人形焼のお店がたくさんある。「重盛永信堂」は1917年創業。七福神をかたどり、皮に卵や砂糖をたっぷり使い、コクのあるあんをいっぱいにつめている。「板倉屋」の創業は、1907年。あんが入った人形焼以外にもあんなしのカステラ焼きが人気。「人形町亀井堂」は、甘酒横丁にあり、明治座帰りのお土産として人気がある。ここの人形焼ジェラートは逸品。ジェラートの中にあの人形焼が入っていて、その組み合わせが美味しい。
このあたりの甘いものは、人形焼だけではない。「柳屋」の鯛焼きは、小豆の風味を生かすため、その日に仕上げたあん以外は使わないらしい。地元の人から観光客まで、1日中行列が絶えない。
今日は1個買って、歩きながらちょっと食べよう。「三原堂本店」(カフェ・ドルチェ)は、120年以上歴史がある、和洋菓子の老舗。
この辺は京都に関連する店も多い。京粕漬けの「魚久」、「近為」の漬物。江戸時代に京都、大阪などの商人たちが次々と江戸に集まり、日本橋を中心とした商業街を作ったというけれど、京都出身の店が多いのはそのせいなのだろうか。
お腹がすいたら、選択肢はたくさんある。洋食「キラク」のビーフカツ。ビーフシチューやコロッケが美味しい洋食屋、「芳味亭」。アルポンテ、すき焼きで有名な、「人形町今半本店」。あぁ、もうだめ。お腹いっぱい。とても一日では食べきれない。美味しいものを食べにまたこなくてはいけない。
さすがに江戸の中心地だっただけのことはある。見るものも食べるものも盛だくさんで、心もお腹もいっぱいになった。今度はロイヤルパークホテルを利用してみようか。東京シティエアターミナルに隣接していてとても便利だと思う。