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駅弁 東日本編

Culture

UpdateFebruary 21, 2018
ReleaseFebruary 21, 2018

日本は狭い国土に縦横無尽に鉄道が張り巡らされた国である。そして、鉄道の旅に欠かせないのが駅弁。新幹線などの高速鉄道の拡大や廃線によって、昔懐かしい駅弁が姿を消しつつあるが、一方で、飛行機に乗るときに空港で購入する「空弁」、高速道路のサービスエリアで買える「速弁」が登場し人気を集めている。
日本の駅弁の発祥については、諸説が入り乱れているが、1885年7月16日、現在の東北本線宇都宮駅で販売されたものが最初というのが通説。ゴマ塩のついた握り飯2個と沢庵(たくあん)を竹の皮で包んで発売したと言う。現在では、駅弁は旅の脇役にとどまらない。例年1月に開催される新宿・京王百貨店の「駅弁大会」は40年以上の歴史を誇る大きなイベント。東京に居ながら全国各地の有名駅弁が食べられ、多くの人が集まる。駅弁大会は人気催事として、全国各地の他の百貨店でもしばしば開催される。

駅弁は何種類ある?

日本全国には何種類の駅弁があるのだろうか。JR、私鉄も含めると相当数の駅弁があるはずだが、正確な数となると回答はなかなか難しい。駅弁は駅で販売されているお弁当だが、駅構内のコンビニのお弁当や車内販売用のお弁当も駅弁なのか人によって定義が違う。駅弁を統括する組織がない。頻繁に新製品や販売中止があるといった理由のため、その数を正確に把握することは不可能だが、それを踏まえておおざっぱに推定すると、2000とも3000種類とも言われる。
行く先々の地元の味覚が散りばめられた駅弁は旅の大きな楽しみのひとつだ。そんな駅弁を東日本と西日本の2回に分けてご紹介しよう。今回は、東日本編。北海道、東北、関東・甲信越地区の駅弁をご紹介する。

北海道

北海道の駅弁はカニやイクラなど恵まれた海産物を主菜にしたものが多い。カニめしで有名なのは函館本線長万部駅。味付けし、ほぐした毛ガニの身を炊き立てのご飯に載せたもの。赤と白のカニの身やしいたけ、錦糸卵などが色彩豊かに載っており食欲をそそる。
百貨店の催事で人気の高い函館本線森駅のいかめしは全国的に有名。現在、森駅での列車の停車時間が短く売店もないため、「幻の駅弁」となってしまったが、駅弁大会に期待する人が多い。生いかに米を詰めてしょうゆとざらめを入れた煮汁で煮込んだいたってシンプルな駅弁だ。
函館本線札幌駅は北海道内最大の駅でもあり、バラエティに富んだ駅弁が目白押しだ。石狩鮭めしは日本初の鮭弁当「鮭めし」を起源とする歴史ある駅弁だ。ご飯の上に、錦糸卵と鮭のフレークとイクラがたっぷり載った色鮮やかさに思わず箸をすすめてしまう。
根室本線厚岸駅(あっけしえき)のかきめしは厚岸湾で獲れる身の大きなかきのエキスと長年使っている甘辛醤油ダレにあさり、つぶ貝の煮汁を足し、ひじきと一緒にご飯を炊き上げたもの。醤油で煮たつぶ貝、あさり、しいたけ、ふきを大粒のかきと一緒にご飯の上に盛った駅弁だ。
根室本線釧路駅のたらば寿しは、カニの王様と言われるタラバガニの棒肉とフレークをふんだんに使った贅沢な駅弁。鮭、イクラ、にしんの昆布巻き、小茄子の漬物が添えられてボリューム満点。

東北

東北はササニシキ、アキタコマチといった米どころを持つためにご飯の美味しい駅弁が多い。海の幸や山の幸をうまく配した逸品が多い。
東北本線八戸駅の八戸小唄寿司は、笹の葉の緑に紅鮭の赤としめ鯖の白身のコントラスト鮮やかな写真と三味線のバチが印象的な駅弁だ。鮭と鯖の押し寿司を箸代わりの三味線バチで切って食べる。酢の味がしっかりしみた魚の切り身とご飯のバランスが絶妙。
東北本線盛岡駅の鮭といくらの親子めしは、鮭のフレークとイクラの醤油漬を刻んだ昆布としいたけの入った炊込みご飯の上に散らし、大葉をあしらった駅弁。
東北本線仙台駅には仙台名物牛タンを駅弁にした網焼き牛タン弁当がある。ご飯の上に網焼きの牛タンが載ったシンプルな弁当。この駅弁の特長は加熱式容器で紐を引っ張ると容器が温まる。
奥羽本線米沢駅の名物駅弁が牛肉どまん中。米沢牛のすきやき肉と牛そぼろがご飯の上にたっぷりと載っており、卵焼きなどが脇を添えている。

関東・甲信越

関東・甲信越は地域も広く、多彩な駅弁が目白押しだ。
信越本線横川駅の峠の釜めしは全国的人気の駅弁だ。碓氷峠越えのための機関車交換の停車時間を利用してこの駅弁を購入したものだ。1997年の長野新幹線開業に伴い、横川駅が終着駅となり碓氷峠越えが廃止され、この光景も見られなくなってしまった。益子焼の釜の容器に鶏肉、しいたけ、タケノコ、ごぼうのきんぴら、ウズラ卵、栗の甘露煮などが所狭しと入っている。
上越新幹線・信越本線の高崎駅の名物駅弁はダルマ弁当。弁当の容器は、プラスチック製のダルマ。食べ終えると貯金箱に変身する。スープで炊いたご飯の上にウズラの卵、シイタケ、タケノコ、こんにゃく小玉の煮物、若鶏の照焼、芝海老、ぎんなんなど盛りだくさんの具が並べられている。
中央本線小渕沢駅の名物駅弁は、しゃれたネーミングの元気甲斐。あるテレビ番組の企画で生まれた珍しい駅弁だ。二段重ねの弁当は、上段は京都の名料亭の味付けとなる鳥ミンチくるみ入りの炊き込みご飯。下段は江戸・東京の料亭が知恵を絞って作った栗、レンコン入りおこわめし、と東西の味が競演している。
数々の路線が集まる東京駅は駅弁も多数ある。東京ならではの地名のついた駅弁も多い。深川めしは、あさり炊き込みごはんのこと。江戸時代、深川界隈の江戸湾に面した浜辺で獲れたあさりを使ったごはんを深川めしと呼んでいた。駅弁の深川めしは千葉県野田のしょうゆをたっぷりと使って炊き上げている。
東海道新幹線東京駅では21世紀出陣弁当が人気の駅弁だ。(東京駅以外の東海道新幹線駅でも販売しているところもある。)竹の皮篭の弁当箱に昆布や紫蘇の入ったおにぎりが3個。おかずは魚の照焼、鶏の唐揚げ、串こんにゃく、野菜の煮物など色々な具がたっぷり詰まったお値打ちな駅弁だ。食べ終えた後の竹の皮篭は物入れなどに使うこともできる。
東海道本線横浜駅と言えばシウマイ御弁當。横浜駅以外でも周辺の一部JR駅・私鉄駅・地下鉄駅の他、百貨店などでも購入でき、日本でも有数の販売個数を誇る駅弁だ。伝統的な駅弁らしい長方形の経木の折に御飯とシュウマイが5個のほか、鶏の唐揚げ、卵焼き、蒲鉾、タケノコ煮などが入っている。横浜のシウマイ人気の立役者ともいうべき名物のしょうゆ入れ「ひょうちゃん」はシウマイ単品のものに入っている。
東海道本線大船駅の鯵乃押寿しは、相模湾で獲れる小ぶりな鯵を三枚におろし、半身を押し寿司1函として使うぜいたくなもの。

東海道本線小田原駅の駅弁は鯛めし。茶めしの上に、鯛のオボロをぎっしり敷き詰めている。ほどよい甘みの鯛のオボロが茶めしと抜群に合う。添え物の伊豆名産のワサビ漬けとしいたけが鯛の甘さと合っている。

駅弁が食べたくて鉄道の旅をする人もいるというくらい、駅弁は日本の鉄道ならではの楽しみだ。日本のひとつの食文化でもある。ぜひ一度ご賞味し、お気に入りの味を探してみてはどうだろうか。西日本編もお楽しみに。