盆栽
Culture
UpdateFebruary 22, 2018
ReleaseFebruary 22, 2018
小さな盆上の大きな風景-
国風盆栽展

盆栽とは

盆栽は、自然にあれば大きくなる木を小さなまま育て、そこに自然を表現していく芸術で、枝ぶり、葉姿、幹の肌、根などの様子や姿全体を鑑賞する。鉢植えや洋風のコンテナガーデンと違って、盆栽は、一本の幹や枝の存在感を強調するためにその周りの枝を落としたり、花や実の数を極端に減らしたりする。自然の景観に似せるために、剪定を施したり、枝を針金で固定したり、屈曲させる、あるいは岩石の上に根を這わせたりと様々な技巧を凝らす。手間と時間が必要なために、愛好者は時間的余裕のある熟年層が多くそのため、最近まで年寄り臭い趣味とされていたが、海外や若者の間でも粋な趣味として再認識されるようになってきている。
日本に古来からあり形が作りやすい木、たとえば松、杉、モミジ、ブナ、イチイ、梅、桜、ヒメリンゴなどが盆栽にはよく使われてきた。しかし盆栽が世界に広まるにつれ、これまで考えられなかった種類の植物も使われるようにもなってきた。その国の気候風土にあった木で、日頃見ている風景を再現するのが盆栽。気候風土が違えば風景も違い、当然盆栽も違ってくる。田村さんは、「ケニアの盆栽は、サバンナの中に木が1本生えているような風景を連想させるものでした。お国柄を感じて面白かったですね」と語る。
盆栽の楽しみ方

今は形の整った木でも放任していると形が変わるので、それを整える作業も必要。生きた植物なので完成というものがない。そして、盆栽を育てるには長い目を持つことが必要。今日の手入れの結果がわかるのは早くても数ヵ月後、数年、数十年たって初めてわかるということも少なくない。常に変化するというのも魅力の一つだ。
鑑賞のポイント
野外で見られる大木の姿を連想させる盆栽が名品といわれるが、絶対のルールというのはない。基本を踏まえたうえで、鑑賞する人がそれぞれの好みでお気に入りの盆栽、ひと目見て心惹かれる盆栽を探せばいいのだ。盆栽は自然のミニチュアライズといわれるが、自然の木の形をそのまま小さくしただけでは盆栽にはならない。盆栽は自然の姿を手本としているが、自然そのままではない。自然と同じ縮尺で鉢に木を植えても大木感は出ない。根は太く、幹は上へ行くほど細く。自然界の比率よりもその差は大きい。しかし決して不自然であってはならない。それが盆栽の難しさであり、おもしろさでもある。鉢と木の調和も重要なポイント。木に対する鉢は、人に対する着物のよう。木と鉢が調和すれば盆栽はいっそう引き立つ。
また、その地の盆栽は容易に他の土地へ持っていけない。その土地に合った樹木で盆栽は作るので、気候風土が違うところでは枯れてしまうし、運ぶ間に枯れてしまう恐れもある。だから、日本の素晴らしい盆栽を海外で展示するということはなかなか難しく、どんなに盆栽が広まろうとも日本でしか見られない作品があるのだ。コンパクトなパッケージに凝縮された、大きな日本の美。機会があればぜひ日本で盆栽を見てほしい。
盆栽村へ行ってみよう

最寄駅:東武野田線 大宮公園駅より徒歩約5分 またはJR宇都宮線 土呂駅より徒歩約10分