湯河原温泉:人々の傷を癒し、愛されてきた1000年を超える歴史の温泉郷

湯河原温泉:人々の傷を癒し、愛されてきた1000年を超える歴史の温泉郷

横浜から特急電車で60分、神奈川県にある湯河原温泉は、関東でもっとも古い温泉の一つと言われています。数十万年前に活動を終えた湯河原火山の浸食カルデラ内に湧出し、日本最古の歌集『万葉集』にも詠まれた東日本唯一の温泉地として有名で、中世には武士や村人の湯治場として利用され、19世紀末~20世紀初頭の日清・日露戦争の際には傷病兵の療養地に指定されるなど、古くから多くの人を癒してきたと言われています。

近代以降は島崎藤村、芥川龍之介、谷崎潤一郎ら多くの文人、画家たちが静養に訪れました。国木田独歩が晩年に『湯河原より』『湯河原ゆき』などの短編小説を執筆したほか、夏目漱石が絶筆となった『明暗』を湯河原で執筆したとされているように多くの文豪にも愛されてきた温泉地です。

湯河原温泉は109本もの源泉があり、そのすべてが療養泉。からだの芯までよく温め、しかも冷めにくい保温効果に優れた泉質や、鎮静効果がある泉質、肌を柔軟になめらかにし、しわを防ぐ美肌効果のある泉質など5種類の泉質に恵まれ、それぞれの温泉でそれぞれの効果があると言われています。

湯河原駅から千歳川の谷を遡るように温泉街が続いており、日本旅館が多く昔ながらの風情が残っている湯河原温泉郷。町営の日帰り入浴施設「こごめの湯」では、温泉街の街並みを臨みながら一日ゆっくりできるため多くの人が訪れます。

写真提供:湯河原町

隣接する万葉公園には2021年に新しいリトリート施設「湯河原惣湯 Books and Retreat」がオープン予定。観光案内所やカフェを擁する玄関テラスや、源泉掛け流しの温泉 (サウナ付) にレストランとライブラリーを併設した「惣湯テラス」などが揃います。本とコーヒー、サンドイッチを片手に、足湯や温泉でのんびりと過ごすことができる新しい施設の誕生で、ますます人気を博すであろう湯河原温泉郷から目が離せません。

写真提供:湯河原町

首都圏から近く、温泉はもちろん、新緑、ホタル、海水浴、紅葉、梅と年間を通じて魅力あふれる湯河原温泉。首都圏旅行や休日に少し足を延ばしてみるのはいかがでしょうか。

アクセス 東京駅→JR特急踊り子で80分→湯河原駅
電話番号 0465641234
URL https://www.yugawara.or.jp/

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このページの情報は 2021年5月の情報です。
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att.JAPAN編集部
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