新潟・佐渡・越後湯沢

新潟・佐渡・越後湯沢

新潟の誇るものは、なんといっても米と酒、魚。山と海。豊かな自然。日本の原点をぎゅっと濃縮したような場所、それが新潟。東京からも比較的近いので、ちょっと足を伸ばしてみてはどうだろうか。

概要/ロケーション
日本海側最大の経済都市、新潟市を有する新潟県。日本の穀倉地帯といわれる、水田が広がる豊かな地域だ。日本海側のほぼ中央に位置し、長い海岸線からは日本海に落ちる見事な夕日を見ることができる。妙高山、火打山、長野県との県境にそびえる苗場山など、日本100名山にも選ばれている名山も数多くある。山があれば温泉がある。ノーベル文学賞受賞作家、川端康成の作品「雪国」の舞台は越後湯沢温泉。タイトルどおりの雪国で、ウインタースポーツが楽しめる。今回は新潟・佐渡・越後湯沢地方を中心にご紹介しよう。

新潟・佐渡・越後湯沢

みなとまち新潟
1858年に締結された日米修好通商条約は、当時鎖国をしていた日本に開港をせまった。幕府は横浜、長崎、函館、神戸、そして新潟の5港を開港した。新潟を語る際には、港町としての新潟の特徴を忘れてはならない。新潟港は1868年に開港した。 新潟駅前の大通りをまっすぐ歩いていくと、信濃川にかかる萬代橋にぶつかる。水の都といわれる新潟のシンボル。6連のアーチが素晴らしい。橋の上から眺める景色は悠然としている。橋をはさんで、駅側が新市街、渡ると古町などの旧市街となる。駅前にそびえる高さ100mの万代シテイ・レインボータワーから市街を見おろせば、新潟が水の都というのがよくわかる。

萬代橋を渡ると古町。料亭やこぢんまりとした店が軒を連ねる江戸時代からの繁華街であり、芸妓の街だ。網の目のようにはりめぐる小路が往年の花街を彷彿させる。新潟の芸妓と料亭は全国に名をとどろかせ、戦前は東京の新橋、京都の祇園、新潟の古町が三大花街といわれた。今でも老舗料亭ではぜいたくな時を過ごせる。とはいっても料亭はちょっと敷居が高いし、わからないし、という人も多いだろう。12月から3月にかけて行われるイベント、「にいがた・食の陣」では、気軽に料亭を楽しめるのでお薦めだ。

米どころ新潟
田畑を貸し出していた家を豪農と呼ぶ。新潟には豪農が多く、ありし日の栄華を伝える豪壮な館が残っている。 北方文化博物館(伊藤邸)。豪農、伊藤家は、小作人2800余名・米蔵58ヶ所を数え、県下一の大地主といわれた時期もある。城郭にも匹敵するような、広大な敷地と豪壮な屋敷には圧倒される。

せんべいは米を原料とした菓子。米の名産地、新潟ではせんべいの生産でも有名。新潟空港からほど近い新崎の「せんべい王国」では手軽にせんべいの手焼を体験できる。売店でせんべいのもとを買って網の上で5分くらい焼く。最後に醤油で味付けをしたらできあがり。熱々のせんべいは香ばしくとても美味しい。館内の休憩スペースで食べられる。(無料のお茶サービスあり)。売店では県内各社の米菓も買える。

佐渡
日本海に浮かぶ、特徴ある形をした島、佐渡。沖縄を除けば日本で一番大きな島である。雄大な自然、多くの史跡が残る。 ニッポニア-ニッポンの学名で知られる美しい鳥、トキ。かつては日本の各地で見られたが、明治以降激減。一度絶滅してしまったが、1998年佐渡トキ保護センターで、日本初の人工繁殖が成功、優優(ユウユウ)が生まれた。トキ保護センターは新穂村(にいほ)トキの森公園にあり、80羽のトキを観察できる(2005.7.1現在)。残念ながら現在は、鳥インフルエンザの予防のためケージの近くに行くことはできないが、双眼鏡で観察することができる。

佐渡は能の島としても知られる。日本の能の大成者、世阿弥が1434年に佐渡へ流された。約854k㎡の島だが、ここになんと34の能舞台がある。なかでも本間家能舞台は床下に音響効果のための瓶が埋められる本格的なものだ。毎年7月に家元の定例能が催され、6月の薪能を中心に年間数回の演能が行われる。

およそ400年前、1601年に佐渡で金山が発見され、採掘は昭和まで続いた。産出された金・銀・銅は徳川幕府の基礎を築き、日本最大の金山として日本全国に広く知られていた。東西3000m、南北600m、深さ800mの範囲に分布。坑道の総延長は約400km、なんと佐渡から東京までの距離に匹敵する。388年間で78トンの金を採掘し、大部分の鉱脈は採掘し尽くしたといわれている。江戸時代の実際の坑跡を観光用に修復した佐渡金山。坑道に入るとひんやりする。各所でロボットの坑夫たちが当時の採掘作業を再現している。金山展示資料館にはミニチュア模型が置いてあり、併せて見ると全体像がわかり面白い。岩を掘るのも、硬い鉱石を割って採るのもわずかの道具のみを使った手作業。桶などを使って地下水の排水作業を日夜行うなど、過酷な労働も偲ばれるが、この時代の正確な地理学や数学・積算、測量技術にも驚かされる。

佐渡奉行所は金山開山400年を記念した施設で、2000年から公開。佐渡金山を管理する佐渡奉行所を復元した。敷地内には役所のほか、精錬所、貯蔵庫、奉行の住居なども復元されている。精錬所の展示を見ると、金山での採掘から小判ができるまでの作業がよくわかる。スタッフから説明を受けることもできる。 西三川ゴールドパークでは砂金採りを体験できる。川底の砂利を皿ですくい、水の中でゆすりながら砂利を洗い流すと、比重の重い砂金が最後に皿底に残る。

小木では、独特の「たらい船」が体験できる。入り組んだ海岸でワカメやアワビ、サザエなどを捕るのに、小回りがきくたらいが便利ということだそうだ。小木港では、観光用に専任の女性が漕いでくれる。希望すれば自分で漕ぐこともできるが、実際体験してみると操るのは素人には非常に難しい。

加茂湖は、新潟県内で一番大きな湖。風光明媚な美しい湖だ。カキ養殖で有名。秋から冬のシーズンには湖畔に並ぶカキ小屋でカキ料理を楽しめる。

鬼太鼓(おんでこ)は佐渡にしかない珍しい古典芸能。勇壮な太鼓に合わせて鬼が激しく舞い、悪魔をはらい、豊年を祈願する神事芸能。

佐渡には、その昔から思想や政治の犠牲となった多くの貴族たちが流され、都の文化を伝えた。そして金山の隆盛に伴い入ってきた江戸文化。こういった歴史的背景が、素朴な人情、風俗、民芸、伝説などとともに独特の佐渡情緒を作っている。

越後湯沢
川端康成の小説、「雪国」の舞台として有名なのが、越後湯沢温泉。温泉旅館・ホテルのほか、共同浴場や民間施設が整備されている。東京から近く、冬はスキー客でにぎわう。GALA湯沢は上越新幹線のガーラ湯沢駅と直結したスキー場。東京から新幹線で1時間半、改札を出ればそこはもうスキーセンターという手軽さだ。5月はじめまで楽しめる。

「雪国」は1937年に刊行され、日本近代文学の典型として広く各国語に翻訳されている。川端康成が執筆したといわれる高半ホテルの「かすみの間」は今でも保存されており、見学も可能。隣には川端康成の初版本などを集めた展示室もある。

豊富な種類の地酒や酒を使ったお菓子、酒器などが販売されているのが、越後の酒ミュージアム ぽんしゅ館。みやげ物を探すのにもいいかもしれない。新酒が出回る10月から2月はとくにお薦め。

アルプの里は高山植物園(営業期間:5月-11月)。世界最大級の166人乗りの巨大なロープウェーに乗り、山頂のパノラマステーションをおりれば、徒歩7分で、日本一のロックガーデンに着く。1000種もの高山植物が季節にあわせて自生している。いろいろなトレッキングコースが用意されているので、季節や体力などにあわせて選べる。


ブランド米、コシヒカリは1956年に新潟で生まれた品種である。美味しい米づくりに適した気候と、雪解けの清流がもたらす豊富な水量、信濃川・阿賀野川などによって育まれた肥沃な越後平野などに恵まれ、新潟では美味しい米が生産されている。 ズワイガニ、鮭、ブリ、南蛮エビ・・・。新潟は魚の旨さでも定評がある。特に冬場の弾力性のあるプリプリとした身は、日本海の海流が生み出す美味。 そして酒。酒の成分の80%は水。酒造りの工程にも水は欠かせない。新潟の水は「軟水」。雪がもたらす水である。越後の山々に積もった雪は大地に浸透し、豊富な水をもたらす。また、雑菌の侵入を嫌う酒造りにとって、雪は空気を洗浄したり、香りと味わいを醸すために必要な一定の温度と湿度を保つ役割も担う。100を超える蔵元が新潟にはあり、淡麗な味わいで人気がある。 美味しいお米から作られる米菓(せんべい、あられ、等)も見逃せない。

冬のイベント
12月から3月にかけて、「にいがた冬・食の陣」というイベントが開催される。日本海の海の幸や地酒、郷土料理など、冬の新潟の魅力「食」をテーマにしたイベント。芸妓の舞(予約制)、料亭のランチ、鍋料理の食べ歩きなどが楽しめる。3/18・19には新潟県の酒蔵が一堂に介し、利き酒が楽しめるイベント、「酒の陣」が朱鷺メッセで行われる。日本酒ファンはもちろんのこと、飲み比べができるので、初挑戦の人にも日本酒の味わいを知るいい機会だ。ぜひとも訪れてみたい。

 

アクセス
新潟県は、日本海沿岸のほぼ真ん中に位置し、陸路、航路、空路とも整備されている。

【新潟へ】
東京から: 上越新幹線(東京~新潟) 約2時間 高速バス(池袋~新潟) 約5時間 大阪から: 飛行機(伊丹~新潟) 約70分

【佐渡へ】
新潟から: 新潟港から両津港まで、佐渡汽船カーフェリーで2時間20分。佐渡汽船ジェットフォイルで、1時間。

【越後湯沢へ】
東京から: 上越新幹線(東京~越後湯沢) 約1時間半

このページの情報は 2018年2月の情報です。
ライター
att.JAPAN編集部
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