演劇芸術が問う -日本社会で外国人と生きていく、私たちのこれからー

1950年に創立され、日本の演劇界を牽引してきた「劇団民藝」。
2019年9月、「外国人との共生」をテーマに外国人労働者と日本人家族の交流を描いた作品「異邦人」を上演します。今回は特別に、att.JAPAN編集部が劇団の稽古に潜入しました!

演劇芸術が問う -日本社会で外国人と生きていく、私たちのこれからー

2019年9月26日(木)~10月7日(月)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される「異邦人」。町の小さな洋食屋を舞台に、日本人とベトナム人技能実習生たちの交流が描かれています。

作・演出の中津留章仁さんは、日本社会に潜む「外国人との共生」という課題を、とても身近な社会問題として本作品で提議しています。

「今年から『特定技能』が施行され、人手不足の日本の労働現場に外国人の存在はとても身近で、更に欠かせなくなっていると感じています。外国人が増え続け、受け入れていく私たちにとって、外国人が一種の『労働力』なのか、『一人の人間』なのかという外国人との共生をこれからみなさんと考えていきたい。また、外国人との共生のなかで、日本人がどんな民族なのか、という日本人の本質が見えてくるのではないでしょうか。」と中津留さんは語りました。

本作品の舞台は洋食屋。

コックの妻・早苗を演じる主演の樫山文枝さんは、近年の日本社会の変化について、「日本語の通じない外国人が増えたことをごく身近に感じていました」と語ります。「この作品に携わってから、『外国人との生活で摩擦も生じるかもしれないが、一つ一つ言葉と気持ちを尽くして交流したい』と考えるようになりました。外国人が故郷を離れて、文化の違う日本で暮らす、彼らの心細さが理解できたら、こんなことができるのではないか?と具体的な考えが膨らんできたんです。外国人が日本社会にもたらす、生きることへのたくましい息吹は日本の若い世代にも大きな影響をもたらすのではないでしょうか。」

この作品に欠かせないのは「ベトナム人技能実習生」の存在。

作品に登場する技能実習生の一人・チエンを演じる岩谷優志さん。イントネーションや発音の小さな違いで意味が変わるベトナム語の習得はとても難しく、ベトナム語の教室に通い、語学の習得にも励んでいます。また、岩谷さんの母親は韓国人。「韓国人である親が差別されている姿を見るのは僕にとってとても辛い経験でした。今回の作品はいじめや差別を敏感に感じる、学生や若い世代に観てほしいです。」と演劇芸術が若者にもたらす可能性を語って下さいました。

近年、急激に増える外国人、そして受け入れる日本社会。

互いに異なる文化をもつ私たちの「共生」に求められていることとは。本作品がその手掛かりを探るきっかけを与えるのではないでしょうか。

【詳細情報】

劇団民藝公演『異邦人』

2019年9月26日(木))~10月7日(月)

紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(新宿南口)

1日1回公演で9月26日、10月2日、4日は18:30開演、他日は13:30開演。

一般6,300円、夜4,200円、25歳以下3,150円、高校生以下1,000円、前売受付中。

お申込は劇団民藝044-987-7711、もしくはチケットぴあ、ローソンチケット、イープラスなどのプレイガイドにて。

URL http://www.gekidanmingei.co.jp/

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このページの情報は 2019年9月の情報です。
ライター
att.JAPAN編集部
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