越前・加賀

日本海に面した北陸地方。石川県の加賀と福井県の越前。美しい景勝地に恵まれた加賀と越前では、風景、伝統工芸、味覚、温泉などが楽しめる。

越前・加賀

越前 福井
福井県の県庁所在地。現在福井県庁舎が立つ場所にはかつて福井城があった。越前松平家が居城し、今は石垣と濠が残る。お濠端の桜は花見の名所として知られる。

永平寺は、全国に1万5000の末寺を持つ曹洞宗の大本山。道元禅師が1244年に創建し、樹齢700年におよぶ老杉に囲まれた約10万坪の寺域に大小70の堂宇が並ぶ。今もなお毎年百数十名もの入門希望者がおり、厳しい修行に励んでいる。作法のひとつひとつに仏法が現れるというのが禅宗の教えであり、座禅はもとより食事、掃除、入浴、洗面とすべての行動が修行。とくに掃除は心身内外の塵を拭い清める大切な修行で、諸堂を素手素足で雑巾がけを行う。座禅などが体験できる(要予約)。門前には、旅館、精進料理店、永平寺そば、胡麻豆腐の店、みやげ店が軒を連ねる。

越前は、古くから和紙作りが盛んだった。越前和紙は1500年の伝統を誇り、1666年に福井藩が発行した現存する最古の藩札は越前和紙で作られた。歴代の領主の保護のもと、高級和紙の産地として発展し、現在も手漉き和紙の生産全国1位。美しくやさしい風合いだが、丈夫で耐久性は1000年ともいわれる。越前和紙の里では紙漉きの体験ができる。

越前は雪国のため、厳しい寒さに耐えた良質の竹がとれる。この竹を利用し、籠や花器など日用雑貨が昔から作られていた。戦後、竹製品の製作の際に出る端材を使って竹人形が作られ始め、新しい越前の特産品として知られるようになった。越前竹人形の里では工房の見学や製作体験などができる。

700年にわたって受け継がれた鋳造技術で作られるのは越前打刃物。この技術と最先端のデザインで作られた包丁は、ニューヨーク近代美術館永久収蔵品にも選定された。タケフナイフビレッジでは、熱した鉄を叩いて延ばしていく昔ながらの鍛冶屋の光景を見学でき、ペーパーナイフづくりの体験もできる。→動画も見て!

東尋坊・芦原温泉
東尋坊は、約1kmにわたる海岸沿いにそそり立つ断崖。日本随一の奇勝として名高い。巨大な岩柱が壁を連ねたようにそびえたち、水面から25mもある絶壁には足がすくむ。地質学的にも珍しい奇岩で世界にも東尋坊を含め3ヶ所しかないといわれている。観光遊覧船も楽しめ、水平線に沈む夕日の美しさでも知られる。冬は、寒くて波の激しい時、岩に叩きつけられた海水が白い泡になり、それが寒風に吹きちぎられて舞い上がる「波の花」が見られる。

東尋坊を南に下ると、漁港・三国がある。越前ガニや甘エビ、ブリなどの水揚げで知られる。多くの文人たちに親しまれてきた芦原温泉も近い。開湯は1883年と比較的新しいが、北陸で最大級の温泉街として知られる。

大野・勝山
北陸の小京都と呼ばれる大野。初代越前大野城主、金森長近が京都を模した城下町造りをしたため、整然とした碁盤目状の街路が走る。復元された越前大野城をはじめ、史跡や歴史的建造物、レトロな商店、湧水などが散策して回れる。

日本の恐竜化石の8割以上が発見された勝山。2000年に日本初の恐竜博物館がオープンした。恐竜の復元模型、恐竜骨格標本などが展示されている。また化石発掘現場の石で化石発掘体験ができる。

加賀温泉郷
歴史ある四名湯がある。

①片山津温泉
柴山潟の岸辺に位置し、近代的な温泉宿が立ち並ぶリゾートムード満点の温泉。一方で、路地裏からは芸妓の奏でる太鼓や三味線の音が聞こえてくる。今から350年ほど前に温泉は発見されたが、温泉街となったのは1882年。以来温泉街として発展してきた。

2009年7月にオープンした劇場型エンタティメントパーク、日本元気劇場では、伝統的な町並みが再現され、様々なショーやよしもとのお笑い、手裏剣投げなど大人から子どもまで楽しめる。

②粟津温泉
加賀温泉郷の中で最も古い歴史を持つ。開湯は718年。霊山として名高い白山の頂上に初めて立った泰澄大師が温泉を発見したのが始まりと伝えられる。法師は、718年の創業以来46代にわたって続く老舗旅館で、世界で最も歴史ある宿泊施設としてギネスブックに掲載されている。

ゆのくにの森には、北陸の各地から豪壮な茅葺屋根の古民家が移築され、和紙作りやそば打ち、金箔貼りなど工芸体験が楽しめる。どら焼作りも人気。

③山代温泉
小高い丘陵地帯の麓にある。歴史は今から1300年以上前に遡り、薬王院温泉寺を開いた行基上人が温泉を発見したのが始まりといわれる。松尾芭蕉、芸術家・料理人として名高い北大路魯山人、放浪の画家、山下清など、多くの文人墨客が逗留したという。総湯と呼ばれる共同浴場を中心に老舗旅館が立ち並ぶ。源泉公園では源泉がこんこんと湧き出ていて、足湯を楽しむほかに、飲むこともできる。

④山中温泉
豊かな自然に恵まれた山間にある。温泉街は大聖寺川の岸辺に沿って広がる。1300年ほど前に、行基が発見したと伝えられる。温泉とともに全国に名を知られるのは、山中漆器。鶴仙渓は、松尾芭蕉もその美しさに感動したと伝えられる渓谷。そぞろ歩きを楽しみたい。

白山山麓
富士山、立山とならび、日本三名山のひとつに数えられる白山。標高2702mの御前峰を中心に、大汝峰と剣ヶ峰の3つの峰をあわせた山で霊山としても知られる。手つかずの自然が息づくブナの原生林は野生動物の宝庫。ツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカなどが生息する。イヌワシ、イワヒバリなど150種もの野鳥たちが飛び交う。高山植物の名所でもある。

白山の麓に位置する鶴来町には、白山比咩神社(ひめ)がある。加賀の一の宮として知られ、全国に3000社あるという白山神社の総本社である。日本有数の豪雪地帯で、冬には数mの雪が降り積もる。厳しい自然にさらされてきた場所でもある。バードウォッチング、ハイキング、キャンプ、スキーなどのアウトドアスポットとして人気が高い。

金沢
犀川と浅野川に挟まれた古都で加賀地方の中心。1583年、前田利家が金沢に入城。江戸幕府の成立(1603)以来、前田家は文化や芸術の振興に力を注ぎ、加賀百万石の城下町として発展した。九谷焼や加賀友禅に代表される伝統工芸など長い歴史に育まれた文化が息づき、今でも文化の香り高い町として知られる。

見どころ
町の中心にある兼六園。茨城県・水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並んで日本三名園のひとつに挙げられる。冬には松の枝に約800本の縄が掛けられる雪吊りが美しい。道を隔てて金沢城公園があり、金沢城石川門や三十間長屋、菱櫓などの見どころがある。2010年2/5-7、11-14の期間、金沢城公園と兼六園はライトアップされる。

1863年、前田家が建てた成巽閣は、ひとつの建物の中に数奇屋風書院造りと書院造りの2つの異なった建築様式が組み合わされた独特の珍しい建物。紅や群青など豊かな彩色で彩られた御殿は、風格とともに優雅さも兼ね備える。

ヨーロッパやアメリカで美術館など数多くの建築を手がけてきた世界的な建築家、妹島和世(せじま・かずよ)と西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)の設計による、金沢21世紀美術館。円形でガラス作りの印象的な美術館は、建物も一見の価値がある。

石川県立美術館には石川県にゆかりのある美術工芸品を中心に、日本美術の名品が集められている。浅野川の岸辺に位置するひがし茶屋街は、江戸時代から花街として栄えた。格子戸の家が連なる町並みは金沢ならではの散策路。時折、芸妓が奏でる三味線や太鼓の音が聞こえる。長町武家屋敷跡は、加賀藩の中級武士たちが住んでいたエリア。当時の町並みが保存され、野村家は一般公開されている。

工芸品
晴れの着物として京友禅とともに人気が高い加賀友禅。上品な色調に季節の花や風景などを描いた優美な図柄が特徴。加賀友禅伝統産業会館では、加賀友禅の展示や作業工程が見られる。友禅の着用体験もでき、ハンカチを染める体験もできる。

日本を代表する色絵磁器である九谷焼。緑、黄、赤、紫、紺青の五彩による鮮やかな色彩。17世紀の半ば、九州の有田で修行を積んだ後藤才次郎が石川県の九谷に窯を作ったのが始まりといわれる。この古九谷は50年後にいちど廃窯となるが、1世紀後に再興された。鮮やかな色彩の磁器は多くの愛好家の人気を集めている。

金沢では武士が茶道を奨励した。そのため、お茶席に使う和菓子も長く人々に親しまれてきた。今も多くの和菓子店があり、石川県菓子文化会館などでは和菓子づくりも体験できる。

日本の金箔のほとんどは金沢で生産されており、漆器や屏風、仏壇など様々な伝統工芸品に用いられる。箔打ちの工程でできる脂とり紙も金沢の名産。


越前の冬の味覚の代表は越前ガニ。ゆでても焼いてもおしいが、生でも食べられる。大根おろし、鰹節、ネギがはいったおろしそばいも越前の味覚として有名。お菓子では、きめ細かくて、薄く、絹のような舌触りの銘菓だ。

金沢の町から8kmほど西に金沢港がある。町の東には富山県との県境を形成する山々が連なり、金沢は海と山の幸に恵まれる。これらの食材と加賀藩の武家文化に育まれ、洗練された加賀料理が生まれた。ほかにも、四季折々の食材を使ったさまざまな料理が楽しめる。金沢駅近くの近江町市場は、昔から金沢の台所としてにぎわう。鮮魚、肉、野菜、飲食店など180もの店が立ち並ぶ。お寿司が食べたければ、回転寿司店が初心者には入りやすいだろう。回転寿司店は金沢駅や近江町市場を含め、町中に数多くありどこもおいしい。

アクセス 【飛行機】 東京(羽田)→小松空港 1時間 / 小松空港→福井駅 バス 1時間 / 小松空港→加賀温泉郷 バス20-40分 / 小松空港→金沢駅 特急バス40分 【鉄道】 東京→越後湯沢 上越新幹線 1時間10分 / 越後湯沢→福井 特急はくたか 3時間20分 / 越後湯沢→金沢 特急はくたか 2時間40分 【バス】 東京→金沢駅前 8時間 / 東京→福井駅前 8時間10分
URL https://echizenkaga.jp/
このページの情報は 2018年2月の情報です。
ライター
att.JAPAN編集部
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