伊豆

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伊豆

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温泉、海の幸、山の幸、歴史、自然。さまざまな魅力あふれる伊豆。天城山や内陸部では冬、雪がちらつくこともあるが、海岸沿いや南伊豆は気候温暖。花々がいちはやく春の訪れを告げる。

 

伊豆の踊子

伊豆の踊子という映画を見たことがあるだろうか。山口百恵、三浦友和主演の作品や、別のキャストで何度も映画化されている。原作はノーベル賞作家川端康成が1926年に発表した短編小説「伊豆の踊子」。20歳の旧制高校の学生「私」(つまり川端康成)が伊豆天城山を旅行しているときの、14歳の踊子との初恋を描いたものである。伊豆を舞台に進行するみずみずしい初恋の物語は、美しく切ない読後感を与え、多くの人々を伊豆へといざなうこととなった。

「私」と踊子が歩いた道をたどる「踊子歩道」。天城山浄蓮の滝から始まり、天城トンネルをくぐり河津七滝、湯ヶ野へといたる全長21km、歩いて6.5時間の道のりだ。

 

湯ヶ島温泉

伊豆半島の中央で東西に横たわり、北伊豆と南伊豆とを分ける天城連山。天城湯ヶ島は北側の山すそにあり、美しい杉林の山ひだに、狩野川が深い渓谷をつくる。清流にはわさびが栽培される。昔から多くの文人たちに愛された山里。川端康成が「伊豆の踊子」を執筆したのは、湯ヶ島の湯本館。

 

浄蓮の滝

浄蓮の滝は天城山中最大の滝で落差は25メートル。近くにはわさび畑があり、釣りを楽しむ人もいる。水質がよく綺麗なので、わさびや岩魚の成長に最適なのだ。 旧天城トンネル 1905年に完成した長さ446mのトンネル。伊豆の踊子たちも通ったトンネル。

 

河津七滝

旧天城トンネルを通って、南に向かって2時間ぐらい歩くと、河津七滝の入り口に着く。踊子と「私(高校生)」の銅像がある。上流から、釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、カニ滝、出合滝、そして大滝。絶好のハイキングコースとなっている。七滝で一番大きい大滝に湧くのが大滝温泉。天城荘には28もの風呂がある。とくに高さ30mの大滝を見ながら入る風呂は迫力がある。温泉は基本的には裸で入るものだが、天城荘では露天風呂は水着で入れる。上流の渓谷沿いには七滝温泉。温泉に浸かりながら、滝の素晴らしい風景が見れる。

 

湯ヶ野温泉と福田家

さらに1時間ほど歩けば、湯ヶ野温泉に着く。河津川沿いに古い温泉宿が立ち並ぶ。踊子歩道の終点で高校生と踊子の間で純粋な愛が芽生えたのは福田家。木造旅館の古いたたずまいが、踊子たちの時代に連れて行ってくれるよう。玄関ロビーには川端康成の直筆や映画に主演した美空ひばり、吉永小百合、山口百恵のスナップ写真が飾られる。伊豆の踊子の像が玄関にある。

 

温泉、見どころ

伊豆の魅力は温泉抜きには語れない。古くからの温泉旅館に泊まれば、日本の伝統的な生活様式も体験できる。

 

熱海

熱海は伊豆半島の東の玄関口、そして古くから栄えた、気候温暖・風光明媚な観光地。江戸時代には徳川家康をはじめ将軍や大名が訪れ、また多くの文化人にも愛された。別荘を持つものも多く、谷崎潤一郎もそのひとり。熱海梅園はぜひ訪れてみたい。730本の梅があり、12月初めから早咲きの梅が咲き出し、3月までさまざまな梅が咲き続ける。山の斜面にはMOA美術館。尾形光琳の「紅白梅図屏風」などがある。

 

伊東

伊豆半島の東海岸に位置する。源泉は780本、湧出量は毎分3万3000リットルと全国屈指の湯量。伊東大和館は、中心部にありながらも、一歩入れば落ち着いた雰囲気が広がる別世界。館内は浴衣でくつろげる。部屋にもお風呂があり、庭を見ながらゆったり入れるのも嬉しい。 中心部松川沿いに建つ木造3階建ての東海館。1928年に旅館として創業し1997年に廃業したが、伊東の新しい観光名所として2001年にオープン。館内は昭和初期の手工を凝らした建築が随所に見られる。旅館当時の浴場も利用できる。松川沿い約1kmの遊歩道は、対岸に東海館や古い旅館を望み、そぞろ歩きにぴったり。

伊豆高原は伊東市にありながら、伊東とは全く違う魅力を持つ。かつては別荘や保養所がある静かな保養地だったが、今では美術館、ギャラリーが立ち並ぶアートな高原。標高580mの大室山からは、伊豆七島や富士山を望むことが出来る。

海岸側には城ヶ崎。全長約20kmにわたるリアス式海岸で絶壁が連なる。大室、天城山系が噴火した時の溶岩が海に流れて出来た自然の芸術だ。ハイキングコースも整備されている。吊り橋もありコバルトブルーの海が素晴らしい。

河津

河津桜で有名な河津。温泉地としても有名。河津七滝、湯ヶ野温泉などがある。1月の末に咲き始める河津桜は日本一の早咲き桜。河津川沿いをはじめ、町内にはおよそ8000本の桜の木。ピンクの奇麗な花がひと月以上の長い期間見ることができる。

 

下田

伊豆半島の南部に位置する下田。青い海、白い砂浜、陽光に恵まれ1年中花が咲き乱れる南国情緒豊かな町。幕末に開港した港町だ。1854年、アメリカの提督ペリーが来航。日米和親条約や日露和親条約が下田で締結され、これらにまつわる史跡・名所が多く残る。蓮台寺温泉は1300年の歴史。毎分500リットルという膨大な湯量で知られる。下田温泉は蓮台寺温泉からひき湯。爪木崎では12月中旬から水仙が咲き始める。

白砂の多々戸浜にある下田大和館は、各部屋から大海原と空とビーチが望める。露天風呂付の部屋もあり、温泉につかったり、テラスでくつろげばスパリゾートの快適さを感じることができる。

 

西伊豆

土肥は西海岸では最古かつ最大の温泉郷。でもなんといっても夕日の美しさと富士山を見る絶好ポイントとして有名。カップルが必ず行くといわれるのが恋人岬。恋人岬に立つと、駿河湾だけではなく、天気がよければ富士山も見ることができる。ロマンチックな散歩道を歩いていけば恋人岬の先端へ。カップルが列を作り、「ラブコールベル」を鳴らすのを待っている。海は夕焼けに赤く染まり、岬は黄金色になり、恋人同士たちのシルエットが浮かび上がる。

 

修善寺

修善寺は伊豆で最も古い温泉で、弘法大師が発見したといわれる。中伊豆の中心。名所・旧跡が多く残り、桂川のせせらぎ、湯煙。緑に囲まれた落ち着いた温泉の町には多くの文人も訪れている。独鈷の湯は修善寺温泉発祥の湯。現在は入浴はできない。川沿いには、竹林の中の石畳の道。落ち着いた散策が楽しめる。

 

天城湯ヶ島

伊豆の踊り子の舞台となった天城湯ヶ島町。多くの文学者も訪れた。

 

海の幸、山の幸

新鮮な海の幸は伊豆の名物の一つ。伊豆半島は三方が海に面し、海の幸が豊富。綺麗な金目鯛、甘くて新鮮なアワビ、イカ、伊勢海老、アコウダイ、サザエ、アジなど。機会があったらぜひ朝市にも行ってみたい。イキのいい魚や威勢のいい市場の光景が見られるだろう。秋冬の伊豆で一番活躍するのは、伊勢海老。刺身でも、ゆでても、味噌汁でも美味しい。噛むと肉に弾力があり、とても美味しい。

獲れたての魚を刺身でいただくのは何よりのご馳走だが、干物も刺身に負けないほど味わい深い。なにしろ、朝獲ってきた魚がその場でさばかれ干物になるので、鮮度は抜群。魚はだいたい3時間ほど干されて干物になる。老舗温泉旅館の朝食はたいてい干物を使ったメニューだ。焼くと香ばしく濃厚な味で、酒の最高のつまみかもしれない。

山の幸なら猪鍋だろう。天城山、湯ヶ島、河津あたりは豊かな自然に恵まれ、野生の猪が生息する。猪狩りが解禁される11月-3月が一番おいしい時期。猪肉とネギ、大根しいたけなどを味噌仕立てで煮込む。

 

伊豆半島

伊豆半島は静岡県の東部に位置し、海、山、温泉に恵まれた観光地。東伊豆、南伊豆、西伊豆、中伊豆に分かれる。男性的な西伊豆の海、女性的な東伊豆の海と同じ海でも東と西では景観も違い、温泉の効能も土地によって違う。

 

交通

新幹線、JRでアクセスできる。新幹線なら三島・熱海から。伊東へは熱海駅からJR伊東線。伊豆高原、城ヶ崎、河津、下田へは伊東駅から伊豆急線で。JRの特急踊り子号なら下田・修善寺まで乗り換えなしで行くことができる。修善寺へは三島から伊豆箱根鉄道で。天城湯ヶ島、河津七滝、湯ヶ野へは、修善寺駅から東海バス。西伊豆の堂ヶ島などへは修善寺駅から東海バス。

このページの情報は 2019年2月の情報です。
ライター
att.JAPAN編集部
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