神戸
神戸
日本の本州のやや西側の地域が関西と呼ばれる地域。大阪、京都、神戸が、その地域を代表する3都市である。その3都市の中で、もっとも西側に位置するのが神戸。
港町としての歴史を持つこの町は、日本人にとっても、憧れをいだかせる街だ。海と山に囲まれた魅力あふれる風景。1000万ドルの夜景。坂の多い街並みに古い洋館や異国情緒あふれる教会がつくり出す、エキゾチックな雰囲気。しゃれたブティックや世界各国の味を楽しませてくれるレストラン、おいしいコーヒーとケーキも、この街の洗練された魅力のひとつだ。海外からの旅行者をも魅了してやまないだろう。
1995年の大震災の被害から復活し、さらに活力のある街となった。
国内からは、新幹線や飛行機などの交通機関で、比較的簡単に訪れることが可能。
北野
北野町は海を見下ろす山手の街。北野異人館街は明治の開港のころ、神戸に移住した外国人が遠い故郷を懐かしんで、海の見える高台に洋館を建てて住んだことから誕生した。異人館めぐりの合間には、しゃれたブティックやレストランにも寄ってみよう。
エリア的にはかなり広いが交通機関はないので、歩いて回るのが基本。急な坂道が多いので、精力的に動くなら履きなれた靴で行こう。
風見鶏の館
北野のシンボル。三角屋根の尖塔に立つ風見鶏がトレードマーク。1909年、ドイツ人貿易商G・トーマスの邸宅として建てられ、北野に現存する異人館唯一のレンガ造りだ。重厚なドイツの伝統様式に、アールヌーボー調の装飾が調和し、各部屋の天井のデザインが異なるなど、凝った造りになっている。
萌黄の館
1903年、神戸のアメリカ領事を勤めたH.シャープの邸宅として建てられたもの。淡いとび色の外壁が特徴。1階南側の開放的なベランダからは海まで見渡せる。
ラインの館
1915年建築の旧ドレヴェル邸。寄棟2階建ての異人館は、下見板張りの横のラインが美しいことから、「ラインの館」と名づけられた。外壁や鎧戸、張り出し窓など明治時代の典型的な異人館様式を忠実に受け継いでいる。館内には菓子店ユーハイム直営の喫茶店がある。
シュウエケ邸
1896年に建てられた、ゴシックを基調とした異人館。現在もシュウエケ家の私邸として使われている。もとは1888年から1919年に帰国するまでの間、神戸建築に携わった英国人建築家A.N.ハンセルが自宅として建てたもの。開放的なコロニアル様式にビクトリア調のシンプルな内装がみもの。実際の生活様式をかいまみることができる貴重な異人館だ。
本家オランダ館
明治時代にオランダ人貿易商の私邸として建てられた旧エリオン邸。庭には風車があり、春になるとチューリップが満開になる。入館者は無料でオランダの衣装が借りられる。
香りの家オランダ館
1918年ごろ建築の旧オランダ総領事邸。緑の窓枠と鎧戸、寄棟造りの屋根がノスタルジックで、館内には約200年前の自動演奏ピアノも置かれている。オリジナル香水作りにチャレンジできるコーナーもある。
神戸回教寺院
昭和10年に建てられた日本で最初のイスラム教礼拝堂。オリエンタルなムードを漂わせている。
にしむら珈琲店
神戸の喫茶店を代表する店のひとつ。酒どころ灘の宮水を使って丁寧にたてられるコーヒーは味も香りも絶品。
メリケンパーク & ハーバーランド
港町神戸を象徴するベイサイドエリア。
開港直後の明治元年に、外国貨物の荷揚げ港として建造されたのがメリケン波止場。ここが近代神戸港の発祥の地。メリケンパークは、波止場と中突堤の間の、港を望む広々とした公園で、まさに海と街がいったいになった空間。
一方、ウォーターフロントのランドマークとして、すっかり人気が定着したハーバーランド。対岸の真っ赤なポートタワーが背後の緑の山並みに美しく映えている。大規模なショッピングセンターや映画館、遊園地などがあり、カップルからファミリーまで楽しめる人気スポットだ。
メリケンパークとハーバーランドは遊歩道で結ばれており、海を感じられる、楽しい散策ができる。
神戸ポートタワー
真っ赤な鼓型をした高さ108mの港神戸のランドマーク。展望階にあがれば、南に大阪湾、北に六甲の山並みなど360度の大パノラマが広がる。
モザイク
ハーバーランドのもっとも海側にあり、グルメ、ファッション、アミューズメントが楽しめる。太陽の光が差し込むオープンモールの開放的な空間に、和洋中のレストランや雑貨店、インポートショップ、映画館、ゲームセンターなど90もの施設が並ぶ。
高さ50mの大観覧車やメリーゴーラウンドのある遊園地、モザイクガーデンも人気のスポットだ。夜は、大観覧車から、イルミネーションに彩られた神戸市街地や六甲山、瀬戸内海の夜景が一望できる。
三宮・元町・旧居留地・南京町
神戸の表玄関となる三宮は、神戸いちばんの繁華街。JR、阪急、阪神、市営地下鉄、ポートライナーと5つの駅が集まるターミナル。新神戸から三宮へ南北に貫くフラワーロードを中心に、大型複合ビルや専門店、地下街が集中し、一大ショッピング、グルメゾーンだ。神戸といえば、神戸牛、と思い浮かぶ人もいるだろう。ジューシーな肉汁が口の中で広がるステーキ、霜降りのしゃぶしゃぶ、すき焼き、と上質の神戸牛のうまみを堪能させてくれるレストランにも満足することだろう。
元町、旧居留地界隈は、開港とともに西欧文化が真っ先に取り入れられた地域。 江戸時代、西国街道沿いの街だった元町は、明治初期の開港のころから商店街が発展。現在は全長1.2kmの通りに、当時の面影を残す老舗店と新しいショップが新旧一体となって商店街を形成している。 開港と同時に外国人の居住場所として誕生した居留地。このあたりには、現在もクラシカルな石造りの洋館が残っていてレトロな雰囲気。開港当時に領事館や商社として建てられた建物を利用して、カフェやブティックがテナントとして入っている。
南京町の歴史は、1868年に始まった。神戸開港に先立ち、1858年に結ばれた日米修好通商条約による規定で設けられた外国人居留地には、米・英・蘭・露・仏の条約締結5カ国の人たちにだけ居住が許された。一方、その5カ国以外の人々の居住地は、生田川と宇治川の間と定められた。その代表が南京町と北野町だ。中国人は、貿易に便利なこの界隈に集まった。 西日本最大級の中華街。東西に延びる400mの通りには、飲食店や雑貨店、食材店など約100店舗が軒を連ねる。東と西、南に設置された楼門をくぐれば、オリエンタルムード漂う空間が広がっている。週末には長蛇の列ができる名物豚まん屋や広東料理屋などを筆頭に、どの店も活気にあふれている。
高架下商店街
三宮駅から神戸駅にかけて、JR線の高架下約2kmにも続く商店街。戦後すぐバラックの闇市が立ったところだ。狭い通路をはさんで靴、雑貨、衣類などの店がぎっしり並び、昔ながらの食堂や床屋なども残っている。個性的かつマニアックな店舗が多い。
遠足
灘
国道43号から南の海岸部に広がる、西宮から灘までの一帯に、600年以上の歴史を誇る、酒造りの町「灘五郷」がある。江戸時代中期以降、清酒の産地として発展。点在する昔ながらの堂々とした酒造は情緒たっぷり。焼羽目板の塀が続く細い路地を歩くと、どこからともなく酒の香りが漂ってくる。
阪神魚崎駅から大石駅の間、「西郷」「御影郷」「魚崎郷」「西宮郷」「今津郷」を「灘五郷」と呼んでいる。無料で見学できる酒造ミュージアムが点在し、試飲ができる蔵も少なくない。
灘の酒がおいしいワケ(コラム)
米、麹、水とシンプルな原料から作られる日本酒。この灘近辺では、西宮の特有の地下水、いわゆる「宮水」が酒造りに適していることが江戸末期に発見され、以来ずっと使われている。また酒米の横綱といわれる銘柄「山田錦」が兵庫県内で多くつくられているなど、好条件が揃っていた。そして、兵庫・丹波の杜氏たちの伝統の技が受け継がれ、恵まれた環境と誠実な仕事ぶりのおかげで、今もなお全国に誇る名酒が生まれている。