山梨

もくじ

雄大な富士山や南アルプスを背景に、自然に囲まれた山梨県。豊饒な土地で生育されるフルーツ王国としても知られる。夏ならではの富士登山の楽しみ、お祭り、ワインの魅力を中心にご紹介しよう。

山梨

山梨県プロフィール
山梨県は日本列島のほぼ中央に位置し、周囲を急峻な山々に囲まれている。北東部に秩父山塊、西部に3000m級の山々がつらなる南アルプス、南部には日本一の富士山(3776m)、北部には八ヶ岳。山岳、森林、湖沼、渓谷などのすぐれた景観に富み、富士箱根伊豆国立公園など自然公園に指定されている。
果樹、野菜、花きなどの栽培に適した自然条件や、東京圏に近い立地条件を活かした生産性の高い農業が行われていて、中でもぶどう、もも、すももなどの生産が盛ん。

富士山
いわずと知れた標高3776mの日本一の山。美しい円錐火山の独立峰。その美しさと圧倒的な存在感で、様々な絵画や写真、詩歌の題材として使われ、日本のシンボルとして世界中で知られている。見る角度、距離、四季により、違った魅力を見せる。
昔より日本では太陽や峻険な山岳は信仰の対象とされてきた。中でも富士山はその雄大な姿、高さ、時々の噴火などから山岳信仰の対象であり、富士山詣は盛んに行われてきた。
富士山に登ってみよう。7/1に山開きが行われ、8/26までが富士登山期間。富士登山ルートには、静岡県側からを含め4ルートあるが、山梨県側からは河口湖口からのルートがある。富士スバルライン5合目(標高2305m)を起点に登り約5時間30分、下り約3時間、距離6.6kmのルートで、4つのルートの中では、初心者向けでよく登られるコースである。
夏の富士登山は、夏のレジャーとして日本人にも人気があり老若男女が山頂を目指すが、とはいっても、簡単に登れると考えてはいけない。頂上付近の平均気温は夏でも5度Cであり、零下になることもある。真冬の気温に対応できる服装と最低限の装備は必要だ。雨具、フリースなどの防寒具、厚手の靴下、帽子、サングラス、日焼け止め、ヘッドライト、飲み水(1リットルは欲しい)、食べ物などは必須。杖もあると特に下山の時に楽。木製の杖を5合目のみやげ物屋で買えば、頂上までの途中の山小屋で焼印を押してもらえるので、記念になる。手袋、着替え、ごみ袋、トイレットペーパーなどもあるといい。荷物はザックに入れよう。歩きやすいズボンを穿き、トレッキングシューズを履いて出発。ゆめゆめスカートとハイヒールなんていう格好では出かけないように。
富士登山口までは、新宿駅から河口湖口5合目まで中央高速バスで行くのが最も簡単で便利だろう。(所要時間1時間45分)
登山者の多くはご来光を山頂で迎えたいだろう。夜、出発し、夜通し歩いて山頂まで到達する健脚な人もいるが、初心者なら昼ごろ出発し、山頂近くの山小屋で仮眠をし、夜中に小屋を出て山頂でのご来光を目指すのが一般的。この時期の日の出は4時半~5時。真っ暗な闇の中、登山者のヘッドライトの列が累々と一列に連なる景色はなかなか壮観で、たしかに一種宗教的である。山小屋は要予約。ピーク時は非常に混雑する。
5合目にはレストハウスがあり、登山をしない人たちはここで景色を眺めたりして楽しむ。登山者はここから登山を開始。約1時間で6合目に到着。6号目から7合目にかけて、砂礫のジグザグの登山道が続く。約1時間で7合目に到着。山小屋が傾斜にへばりつくように並び立っている。山小屋で休憩しながら登っていくのがいいだろう。(そのほうが高山病にもなりにくい。)このあたりからゴツゴツした溶岩上の急坂で滑りやすい道となる。約2時間で8合目に到着。このあたりの山小屋で一泊するのが初心者にはおすすめ。ここから頂上までは1時間半のコースタイムだが、ピーク時や夜中ならもう少し時間がかかる。急坂を登れば山頂。山頂はすでに、ご来光を待つ人たちでいっぱいである。防寒具にくるまり寒さに震えながらご来光を待つ。太陽が姿をみせると、いっせいに歓声と拍手が沸きおこり、感激して泣く人も。余力があれば頂上一周。下山道は砂礫の急坂。ひざを痛めないよう注意して下りよう。

富士五湖
河口湖
河口湖周辺は、富士五湖の中でもひときわリゾートムードが漂うエリア。おしゃれなホテルやレストラン、美術館が多い。河口湖周辺はラベンダーの栽培が盛んで、6月下旬から7月中旬にかけてはラベンダーが楽しめる。

富士急ハイランド
富士山の麓にあるアミューズメントパーク。世界一の長さを誇るホラーハウス「超・戦慄迷宮」やドドンパ、フジヤマ、トンデミーナなど、30種類以上のアトラクションが勢ぞろい。

忍野八海と山中湖
1200年前にできたといわれる忍野八海。富士山の雪解け水が地下にしみこみ、伏流水となり長い年月をかけて湧き出ている8つの池の総称だ。神秘的に光る池は天然記念物の名水。富士信仰登山が盛んだった江戸時代には、忍野八海めぐりは修行のひとつとされていた。
山中湖周辺は富士山の眺望がすばらしい。山中湖・花の都公園では富士山をバックに花畑が広がり、四季を通じて花が楽しめる。

フルーツ王国
肥沃な土壌と豊かな水資源、降りそそぐ太陽の光にめぐまれ、山梨ではフルーツ栽培がさかん。ぶどう、もも、さくらんぼをはじめ、いちご、すもも、梨、洋梨、りんご、柿、ブルーベリーなどが生育されている。
笛吹川フルーツ公園では、さまざまな果樹が生育されている。甲府盆地を一望し、正面には富士山がそびえるロケーションは、一見の価値がある。夜景も人気。
桃は7月から8月下旬、ぶどうは7月のデラウェアから11月の甲州ぶどうまで様々な種類のぶどう狩りが楽しめる。

ワイン
山梨のワイン生産量は全国一。山梨には90近いワイナリーがある。
甲府盆地の東に位置する勝沼は、甲州ワインの一大産地。ワインの味はぶどうで決まるといわれる。いいぶどうができる条件は、日当たりがいいこと、昼夜の寒暖差が大きいこと、湿気が少ないこと。ぶどうは800年ほど前にはじめて勝沼で栽培された。勝沼周辺は、水はけのいい土壌で果樹栽培に適し、ぶどう作りに恵まれた条件を満たしていた。
明治3年よりワイン醸造が始められ、勝沼の2人の青年がワインの醸造技術を学ぶためにフランスへ留学。これに刺激され山梨のワイン醸造は一気に広がり、近年は国際コンクールで高い評価を受けるほどのワインになってきている。フレンチやイタリアンだけではなく和食にも合うのが、山梨県特産の「甲州ワイン」の特徴。

それぞれのワイナリーは、切磋琢磨し個性を競い合う。
ルミエールは、皇室御用達。いいワインはいいぶどうから。そして、いいぶどうはいい畑から。その言葉どおり、日当たりのいい傾斜地に、美しい緑の波が続く、すっきりした畑が広がっている。石蔵ワインを作る石垣の蔵は文化財に指定されている。(見学可)
原茂ワインでは、ワイン、カフェ、ぶどう狩りが楽しめる。築100年以上の建物を利用したこだわりのカフェでは優雅なひとときを過ごせるだろう。

白百合醸造は、山梨県初の桃ワインを販売するなど個性的なワイナリー。ワインのボトル詰め、ラベル作りの体験など観光客が気軽に楽しめる。
中央葡萄酒は、世界に通用するワインを目指し、ぶどうの栽培にも力を入れている。
丸藤葡萄酒工業は、創業1890年。やはり世界に通用するワインを目指している。
ぶどうの丘は勝沼町町営の施設。地下のワインカーブでは勝沼町推薦の約170銘柄のワインを試飲できる。(1100円) そのほか、レストラン、温泉、宿泊施設がある。

石和温泉
全国的に有名な石和温泉。約100軒のホテルや旅館があり、のんびりと楽しめる温泉街だ。風呂自慢の宿、日帰り入浴施設も充実している。

祭り
夏には、各地で華やかな花火大会が開催される。富士河口湖町の「河口湖湖上祭」(8/4-5)、市川大門町の「神明の花火大会」(8/7)、「笛吹市石和温泉花火大会」(8/21)など。
毎年8月26日、富士登山シーズンの終わりには、「吉田の火祭り」が開催される。約70本の大たいまつの炎が圧巻。2kmの道路は一面火の海と化し、幻想的な雰囲気が漂う。また、豊作を感謝する祭りも多く、勝沼町では、10月に「ぶどう狩り」が開催され、ワインの利き酒や、ぶどうが無料サービスされる。

味めぐりとお土産
山梨の郷土料理は、ほうとう。強いコシが自慢の吉田のうどん。あわびの煮貝など素朴なおいしさがいっぱい。フルーツ狩りを楽しむのもいい。ワインはお土産にもいいだろう。甲州印伝は鹿革に漆で柄付けを施す特殊な工芸品。約500年前に金峰山で水晶が発見されて以来、宝飾産業が盛んになった。

旅のプラン
夕暮れに富士山を見てたたずめば、なぜか懐かしい気持ちがこみあげてくる。東京からわずか2時間。雄大な自然と、日本の四季を満喫できる山梨県。日帰りでも十分楽しめるが、何ヶ所かの見どころを組み合わせて泊りがけで遊ぶのもよし。日本探訪としてぜひ訪れてほしい場所です。

アクセス 東京からならJR中央本線を利用する。新宿駅から塩山駅までは、JR中央本線特急「かいじ」で1時間半。富士山・富士五湖へはJR中央線大月駅から富士急行に乗り換え。新宿駅から富士急ハイランド駅までは160分。(JR中央本線 特急利用) 富士山・富士五湖方面へはJR御殿場線御殿場駅からバスを利用する方法もある。 中央自動車道経由の高速バスなら新宿高速BTから勝沼まで95分。富士急ハイランドまで100分。ただし渋滞状況によっては所要時間が大幅に狂うので注意すること。

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