東京から電車で約2時間、栃木県日光エリアにある鬼怒川は温泉地として有名な観光名所の一つです。首都圏から気軽に行ける場所でありながら、豊かな自然や四季折々の景観を堪能できます。
まさに絶景?栃木県鬼怒川温泉の廃墟群が話題
しかし最近はある意外で変わったものが話題を呼んでいます。 なんでしょう・・・?
それは、廃業したホテル・旅館が今もなお残っている廃墟群の景観です。
そこで、最近廃墟の魅力に目覚めた新米廃墟マニアの自分が、絶対に行かなくては!と思い、今回取材に行ってきました!
栃木県鬼怒川温泉の廃墟群
まずは廃墟の全貌を確認できるところへ!ということで、滝見橋へ向かいます。
滝見橋は東武鉄道 鬼怒川公園駅から歩いて7分程のところにあります。
滝見橋に到着。
鬼怒川温泉は鬼怒川の両岸にホテルや旅館が連なる温泉街ですが、鬼怒川に架かるこの滝見橋から下流に見た左岸に廃墟群が並んで建っています。
なんとも言えない景観で、もはや芸術的な美しさとも感じられます。
一見立派に建っていますが、ここから見える4つの旅館・ホテルの中には誰一人いないのです。
滝見橋は渡るとグラグラと揺れ、恐怖感を一層際立たせます。
ここ一体、かつてバブリーで華やかだった雰囲気も今はどこか異質な空気を醸し出しています。
晴れているのにここだけ薄暗いような雰囲気がありますね。
続いて、滝見橋から鬼怒川公園駅方面へ戻り、国道沿いに歩いて、廃墟と化したホテル・旅館や建物を近くまで見に行ってみます。
今回はその一部をご紹介。
最初に見えてきたのは「元湯星のや」。比較的こじんまりとした旅館で80年続いた老舗旅館のようです。看板は綺麗に残っていますが、建物の錆や黒ずみが目立っています。
続いて星のやの隣に見えてくるのが「きぬ川館本館」。かっぱ風呂として親しまれ、かっぱの絵や人形が残っていますが、寂れ具合が不気味です。今にもかっぱの幽霊が出てきそう。
最後にご紹介するのは「鬼怒川観光ホテル東館」。大きく立派な建物ですが、割れて半分しか残っていない看板は奇妙です。割れた窓ガラスをガムテープで補強している箇所がチラホラ。
これほどまでに立派な廃墟群は中々ないため、近年、鬼怒川温泉観光だけでなく、廃墟や心霊スポット好きなマニアが廃墟群目当てに訪れることも多いようです。
なんでこうなってしまったのでしょうか・・・
鬼怒川温泉は、かつては静岡県の熱海温泉と共に東京の奥座敷と言われており、30年~35年前のバブル期では年間約341万人の観光客が訪れていました。
当時は社員旅行等の団体旅行がブームで、その需要に応えるべく、多くのホテル・旅館が建設されました。
しかしバブル崩壊とともに、景気が冷え込み、社員旅行をする企業が減りました。また、スーパー銭湯の普及や娯楽の多様化など、鬼怒川温泉に訪れる旅行客は徐々に減少していきます。
多額の投資で建設された数々のホテルや旅館は、経営が厳しくなってきますが、地元を支えていた地方銀行の経営破綻によりとどめを刺す形になります。更に、東日本大震災や豪雨災害などの影響により物理的なダメージも影響し、閉業に追い込まれました。
ではなぜ今も残っているのでしょう?
それは、1棟解体するのに巨額な資金が必要で、所有者は不在が多く、実際解体するのは市民の税負担になるため、なかなか手がつけられない状況であります。また、温泉の源泉が廃墟群の下にあったり、国道や川と隣接していることも解体が難しい理由です。
いかがでしたか?
夜は人気もなく、非常に危険ですので、絶対に近寄らないでくださいね。幽霊が出るという噂もあるほどです。
鬼怒川温泉の裏の一面を少し見せましたが、もちろん今でも鬼怒川温泉には40軒ほどの宿泊施設があり、「星野リゾート界 鬼怒川」や130年続く「あさやホテル」など、立派なホテル・旅館も多くあります。疲労回復・健康促進効果のある温泉に浸かったり、街中には無料の足湯スポットもいくつかあります。
2020年からは、新型コロナウィルスの影響で鬼怒川の観光業もかなり落ち込みましたが、コロナが早く収束し、活気をとり戻すことを願うばかりです。