味噌汁や鍋、和え物など、和食に欠かせない「味噌」。大豆に塩とこうじを加えて作る発酵食品で、日本の伝統的な保存食のひとつです。ひと口に味噌といっても、甘さや塩辛さ、色や見た目も様々ですが、どのように作られているかをご存じでしょうか?
今回は、東京都練馬区にある都内唯一の味噌蔵で、味噌作りを取材してきました。
味噌汁や鍋、和え物など、和食に欠かせない「味噌」。大豆に塩とこうじを加えて作る発酵食品で、日本の伝統的な保存食のひとつです。ひと口に味噌といっても、甘さや塩辛さ、色や見た目も様々ですが、どのように作られているかをご存じでしょうか?
今回は、東京都練馬区にある都内唯一の味噌蔵で、味噌作りを取材してきました。
西武池袋線の中村橋駅南口から徒歩15分ほど、住宅街の中に糀屋三郎右衛門の味噌蔵が見えてきました。明治時代(1868~1912年)に茨城県で創業し、1939年からこの地で味噌蔵を営んでいます。
「昔みそ」の看板が目印
一般的に味噌づくりは、白米に麹菌をつけて発酵させる「こうじ造り」、柔らかく蒸した大豆にこうじと塩を加えて潰し混ぜ合わせる「仕込み」、そして「熟成」の3つの工程を経て完成します。今回見学させてもらったのは、真ん中の「仕込み」の部分。
取材に訪れたのは午前10時頃、もう少しでその日2度目の仕込みが始まるということで、早速建物の中へと入ります。
大豆を蒸かす大きな圧力釜から、もくもくと湯気が立ち上っています。この日仕込むのは、練馬区のおすすめ商品「ねりコレ」にも選ばれている、「すずしろの里」という白みそ。
火を止め、少しずつ圧を抜いていきます。吹き出す蒸気の大きな音とともに、味噌蔵いっぱいに大豆の香りが広がります。熱を冷ますための扇風機も置かれ、準備万端です。
厳重にかけられたロックを外していきます。
大豆を広い場所に移し、かき混ぜながら冷ましていきます。蒸気の立ち上る中での作業は迫力いっぱい!
蒸したての大豆。白みそ用にしっかりとアク抜きされているので、豆の味はほんのりと感じる程度。豆はすべて国産にこだわっています。
この後にこうじと混ぜ合わせていくのですが、高温のまま混ぜるとこうじ菌が死んでしまうため、ちょうど良い温度まで冷ます必要があります。季節や天気によって温度の下がり方や硬さの変化が異なるため、広げてかき混ぜながら大豆の様子を観察し、職人の長年の経験を頼りに、最適な状態を見極めていきます。
扇風機もフル稼働。夏場は味噌蔵がサウナ状態になり、より大変だそう。
ほどよく熱が取れて、ベストな状態になりました。
.一度に混ぜる分量を測りで計量し、小分けにしていきます。
攪拌機で大豆をつぶしながら、塩とこうじ、水を加えます。
白米のこうじ
発酵・熟成を促進するためにすでに完成している味噌を少量加えます。これは「種みそ」と言い、その味噌の味の指針となって伝統の味を受け継いでいく大切な工程です。
状態を確認しながら混ぜていきます。加える水も毎回決まった分量ではなく、今回の大豆の状態を見ながら相談し調整されていました。
なめらかなペースト状になったものを、巨大な味噌樽へ移して仕込みは終了です。ここから商品として販売できる状態まで、白みその場合は3〜6ヶ月の発酵熟成が必要となります。
最後に、味噌造りで最も重要なこうじの蔵を見せていただくことができました。麹菌が快適に過ごせるよう、温度・湿度が管理されています。初めは高めの温度で菌に発酵のエンジンをかけ、サイクルが安定してきたら今度は菌が消えてしまわないよう風通しをよくします。とても手間のかかる作業のため、生産できるこうじの量に合わせて味噌を仕込むんだそう。
白米の表面に麹菌がふわふわと綿毛のように付いています。
糀屋三郎右衛門で作られる商品の一部を紹介していただきました。右が今回仕込みを行っていた「すずしろの里」。左は10ヶ月〜1年しっかりと熟成された赤みその「京の里」。赤味噌は辛口でコクがあり濃厚、白みそは甘さがあります。
糀屋三郎右衛門さんの味噌は、もちろん味噌蔵でも購入することができます。取材時もお客さんが何人も訪れていました。そのほか都内販売店や、オンラインショップでも購入可能です。
ほとんどの工程を、機械ではなく人の手で行い、こうじから「手作り」の昔ながらの製法にこだわって作られる糀屋三郎右衛門の味噌をぜひ味わってみてください。
住所 | 東京都練馬区中村2-29-8 |
アクセス | お車でお越しの際は、当味噌蔵の専用駐車場がご利用いただけます。 |
営業時間 | 月~金曜日 10:00~17:00 |
定休日 | 日・祭日・土曜日 |
URL | https://www.kouji-ya.com/ |