「京の台所」錦市場へようこそ!
錦市場とは?
京都市の中心部に位置する錦市場は、約400年の歴史を誇る日本有数の市場であり、「京の台所」とも呼ばれています。東西約390mに渡って、生鮮食品を中心とした約130もの店舗が軒を連ねる錦小路通りは、京都の食文化の中心地として知られています。
地元の人々や飲食店経営者、そして国内外からの観光客で賑わう錦市場は、新鮮な野菜や果物、魚介類、肉類、加工食品など、豊富な食材を取り揃えています。京都ならではの食材や調理器具、伝統的な工芸品なども販売されており、京都の食と文化を体感できる場所となっています。
錦市場の特徴の一つは、専門店の集まりであること。鮮魚、青果、精肉、乾物、漬物、菓子など、それぞれの分野に特化した店舗が軒を連ねています。各店舗は代々受け継がれてきた専門知識と技術を持ち、質の高い商品を提供しています。
また、錦市場は京都の食文化を支える存在でもあります。多くの料亭や割烹、旅館などがここで食材を仕入れており、京料理に欠かせない存在となっています。さらに、家庭の主婦たちも新鮮な食材を求めて訪れます。
このように、錦市場は京都の食文化の中心であり、地元の人々と観光客をつなぐ大切な場所なのです。
錦市場の歴史
錦市場の歴史は古く、平安時代(794~1185年)にまで遡ります。当時から、清らかな地下水に恵まれたこの地域に、魚を売る商人たちが集まっていたと言われています。
錦市場が公に認められたのは、江戸時代(1603~1868年)初期の1615年のこと。江戸幕府から「魚問屋」の称号を与えられ、「上の店」「六条の店」と並ぶ、京都の三大市場の一つとなりました。
明治時代(1868~1912年)になると、特権的な市場制度が廃止され、錦市場も一時的に衰退の危機に見舞われました。しかし、1928年に青果店や精肉店なども加わり、「京の台所」として生まれ変わります。第二次世界大戦後も、錦市場は京都の食文化を支え続けてきました。
また、錦市場は江戸時代の奇才絵師、伊藤若冲(1716~1800年)の生誕地としても知られています。若冲は錦市場の青物問屋の生まれで、独創的な絵画スタイルで知られています。市場内では、若冲にまつわるモニュメントや作品を見ることができます。
錦市場で食べられるもの
錦市場では、京都ならではのグルメを楽しめます。中でも人気なのが、屋台や店頭で販売されている串に刺さった惣菜。鶏肉の炭火焼きや、海老や野菜の天ぷらなど、種類も豊富で食べやすいのが嬉しいですね。
また、豆腐や湯葉、生麩など京都の名物を使った料理も要チェックです。
季節ごとの旬の食材を使った料理も魅力的。春には筍や山菜、夏には鱧や鮎、秋には松茸や栗、冬には蟹や牡蠣など、その時期ならではの味覚を堪能できます。
甘味のお店も充実しています。京都の伝統的な和菓子から、モダンなデザインの洋菓子まで、バラエティ豊かなスイーツが並びます。
歩きながら食べるのはマナー違反とされているので、注意が必要です。店舗前のスペースや、通りから少し離れた場所で立ち止まって食べるようにしましょう。
ほかの観光スポット
錦市場の周辺には、魅力的な観光スポットも多数あります。錦小路通の東端には、錦天満宮という由緒ある神社があります。学問の神様として知られる菅原道真公を祀る神社で、境内には湧き水「錦の水」があることでも有名です。
市場の東端に接して南北に延びる通りが新京極商店街。約500メートルに渡って、ファッションやアクセサリー、雑貨などの店舗が並ぶ、若者に人気のショッピングスポットです。
少し足を伸ばせば、京都を代表する観光地の一つ鴨川にも出られます。四季折々の美しい景色を楽しめる鴨川では、夏には納涼床(川床)を設けるレストランがあり、風情ある食事を楽しむこともできます。
また、市場から北へ歩けば、京都御所など見ごたえある史跡にも出会えます。京都御苑と呼ばれる広大な緑地帯に囲まれた御所は、かつて天皇の居所であった場所です。
まとめ
新鮮な食材や京都ならではの料理、そして活気ある雰囲気を味わえる錦市場。京都を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。きっと、素敵な思い出になるはずです。そして、市場を楽しんだ後は周辺の名所を巡ってみるのもおすすめします。